未分類

「さよならテレビ」テレビ局が作った挑発的なドキュメンタリー映画

「さよならテレビ」

闇営業、ジャニー喜多川氏の死去などテレビ業界は衰退の一路を辿っていることはあまり興味がないけれど、こんなタイトルのドキュメンタリー映画を東海テレビが制作したといえば興味津々。

東海テレビといえば自分のなかでは「ヤクザと憲法」というドキュメンタリーが最高に面白かった。

怖くて刺激に溢れた「極道の世界」を覗くつもりで指定暴力団に潜入したカメラが捉えたのは、暴力団対策法ですっかりと弱り、力を失った「哀れな世界」だったというこの映画は、数年前に劇場へ観に行って強く心に焼き付いた。

小学生の長女、長男と一緒にお風呂に入る時には必ず「パパ!クイズ出して!」と言われるので「宇宙」「科学」「芸術」など毎回違ったテーマのクイズを出して遊ぶのだけど、先週末はヤクザと憲法で学んだ知識を活かして「暴力団対策法クイズ」を出したくらいだ。

そんな東海テレビが次作として公開するのが「さよならテレビ」。

従来はニュートラルな視点で発信すべき報道ですら視聴率獲得を意識した番組構成にしている実態や、京都アニメーション放火事件での実名報道、「セシウムさん」事件など、歪んだ業界の実態を自ら赤裸々に語る。

これを撮ったのはまぎれもなく地方テレビ局であって、YouTuber等の業界外の人間ではないところも面白い。

普段は「撮る側」にあって「撮られる側」にはないテレビ局は、内部実態をカメラに収められることに抵抗を示し、撮影は困難を極めたとのこと。「会議中にカメラを回す場合は、撮る理由と内容の事前の申請を」という本末転倒なルール出現し、いざカメラを回せば大事なシーンで「カメラを止めろ!」と怒鳴られ、テレビ局員の製作者としての立場を危険に晒しながらカメラを回す。そんな立場を貫いたのは「ヤクザと憲法」を監督した土方監督。

個人的にドキュメンタリーの面白さというのは、制作者側が「事実を暴く」ということと同じくらいに、その背景で製作者側が「リスクを負う」ことも大きなウェイトを占めると思っている。

この映画をもしYouTuberが撮ったとしたら、テレビ業界とは全く反対側にいる立場から好き放題に立ち振る舞えるから、可能な限り刺激的なコンテンツを求めるのは自然なことだし、そうしなければ面白くもならない。

たぶんYoutubeで再生回数を稼ぐような「強い刺激」を集めたものになるだろうし、逆に言うと刺激を優先的に追い求めたものは表面的な表現に留まることが多いと感じることも多い。

内部を知っているから、内部者として「イタイ」ところも知っているだろうし、イタイ思いをしながらも表現したいと思うところに価値があるのではないかと感じるのは、以前に「ゆきゆきて神軍」の原一男監督の話を聞いたとき。

戦争という巨大な暴力に一人で立ち向かう粗暴な主演男性が発した一言の言葉

「私は自分にとって正しい暴力は今後も振るい続ける」

この言葉によって作品の一貫した論理性は失われ、痛烈な批判に晒されることを知りながらもあえてカットせずに入れたと。

想定通りこのシーンは批判と物議の対象になったけど、この矛盾と暴力性こそが後々作品の深みになったという。

ちょっと話がそれたけど、リスクを負わずに良いとこ取りした作品に深みも面白みもないと感じるところは、この映画の土方監督も予告編の中で全く同じこと言ってる(嬉)。

土方監督による「さよならテレビ」は2020年1月2日よりポレポレ東中野にて公開。

関連記事

  1. Hello world!
  2. 「パラサイト 半地下の家族」アカデミー賞受賞!史上初の快挙
  3. 映像という表現について
  4. Podcastリンク投稿テスト
PAGE TOP