「炎上」の何が悪いの?

今日こんな記事を読んだ。田原総一郎のインタビュー記事「テレビ界のアウトローが、現代の「炎上」を怒る

 

この記事のなかで、田原さんは「ネットの炎上」について注意喚起しています。

 

「炎上」そのものを批判しているのではなく、「炎上を避けようとする風潮」を怒っている。

 

田原さんの一番のイメージは「朝まで生テレビ」の司会を勤めるジャーナリスト(現在82歳!)だけど、この人は映画監督もやっている人だということを知っている人は殆どいないと思う。あと、テレビでこんなの放送できるの?!って思うようなブッ飛んだテレビドキュメンタリーを撮るドキュメンタリストでもある。

 

そんな、炎上を恐れない田原さんが製作に関わった映画の一つが黒木和雄監督、原田芳雄主演のATG(アートシアターギルド)製作の「原子力戦争」

 

この映画がすごく面白い!!

 

この「原子力戦争」は1970年代に製作された映画で、その物語が凄かった(タイトルも凄いけど・・・)。

 

先の記事の「炎上を恐れるべきでない」という考え方が濃縮された映画でもあります。

 

 

その内容は、原子力を推進するために福島県の自治体と国と電力会社がグルになり、重大な原子炉の事故を隠蔽。これが発展して殺人事件まで発生するという衝撃的な作品で、舞台は福島県の福島第二原発近くの福島県いわき市小名浜。

 

こんな3.11を予言するような作品が1970年代に作られていたことを知っている人は殆どいないように思います。

 

更にこの映画は田原さん原作のフィクションなのだけど、ワンシーンだけドキュメンタリーが混ざっています。これが、ほぼ違法で撮影したと思われる衝撃的なシーンでした。

 

それは、主演の原田芳雄が許可なく原子力発電所に侵入して、警備員が止めに入るというシーン。

 

これ、完全に無許可でゲリラ撮影さているらしく、警備員がカメラに向かって「撮影は禁止です!!」と怒鳴る姿がカメラに収められています。

 

それでも主演の原田芳雄は警備員を無視して、施設の中へ入ろうとして、しまいには「あなたたち!!これは不法侵入ですよ!!」と怒鳴られてもやめない(笑)

 

3.11を予言するかのような映画が1970年代に福島で作られていた。そしてこの映画の原作が田原総一朗。

 

「炎上の何が怖いの?」

 

そんな問題作に関わり、創作してきた田原総一朗さんが今日のインタビューで「ネットの炎上」について聞かれたとき、こんなふうに返していました。

 

「炎上したって良いじゃないですか。炎上のどこが怖いんですか?人との衝突を避けて無難に生きようとするから怖いんですよ。無難に生きてても面白くないし、議論するべきところは議論するべきです」

 

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妙に説得力があり、「確かに・・・」と唸ってしまいましたよ。

 

このサイトでも、ちょっとキワドイ記事(暴走族とかエロいネタとか)を書くときに無意識に「他人から攻撃されないように」表現を考えながら描くことが結構あるけど、それも人から否定されたり間違いを指摘されたりすることが怖いからなんですよね。

 

炎上を恐れてるのと同じです。

 

でもよくよく考えたら、本人が気にさえしなければ炎上なんていくらしたって何も怖くないはずなんですよね。

 

炎上しないように発言するのではなく、炎上を恐れずに思ったことをストレートに発言する。

 

これが責任ある発言だと思う。

 

最近これと正反対なのが、Facebookやブログ上で当たり障りなく他人を批判する「良いか悪いかは別として・・・」「・・・違和感を感じる」発言。

 

「良いか悪いかは別として、電車の中で子供が騒いでも注意しない親たちに違和感を覚えます」

 

結局何が言いたいのかわからない。

 

わかるのは「良い」「悪い」「キライ」と言い切ってしまうと敵を作ってしまうリスクが発生するけど、その責任は背負いたくないという気持ちと、「それでも人を批判したい」という気持ちだけ。

 

だからこういう投稿をする人の発言は全然面白くないし、読む気もコメントする気にもなれません。

 

人を批判したくて仕方がないくせに、自分が正しいことを人に認めてもらいたいくせに、人と衝突したり批判されるのはイヤ。

 

「良いか悪いかは別として・・・」「・・・違和感を感じる」発言は、そんな気持ちの表れでしかない気がしてならない。

 

批判や炎上を恐れずに面白いコンテンツを創造できる人でありたいし、当たり障りのない映画を作ろうとしたら「原子力戦争」だって出来なかったはず。

 

それでは、そんな炎上上等の「原子力戦争」の不法侵入の問題シーンで閉めよかと思っております。良いか悪いかは別として・・・

 

 

 

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