最近、街中で「あ、このコはお洒落だな」と感じる若い人が、80年代風のファッションをしていることに気付く。
それと同時期にFacebook上の友達がこんな書き込みをしてました。
「最近の若い子のファッションがわからない・・・80年代ヤンキーのボンタンみたいなパンツを履いた女の子が増えた気がする。あんなものはオシャレじゃない。」
うん。気持ちはわかる。
でも時代は回ってます。
おじさんたちが「過去」のものとして葬ってしまいたい負の遺産が、ふと若者の目にとまってそれが新鮮なものとして息を吹き返す瞬間が必ず来る。
ちなみに「ボンタン」って言葉は今の10代20代は知らない人もいるかと思うので、少しお見せすると下の写真のような「パンツ」です。
基本は学ランのズボンを太くして、裾だけキュっと閉めたデザイン。
80年代のモテる不良の定番で、映画「ビーバップハイスクール」で出ると、不良たちの間では物凄い大ブームとなりました。
それでも20年前に比べると「ブーム」というものの規模が恐ろしく小さくなった感じがします。
かつてギャル服アパレルメーカーとして大ヒットした「アルバ・ローザ」。
ギャルという分野のブームが過ぎ去ろうとしていた時期、この会社に務めていた高校時代からの友人が、こんなことを言っていました。
「俺らの時代は”ブーム”ってコントロールされてたんだよ。大手のアパレルとメディアが組んで雑誌の企画を立てたりして。
ちょっと前にさ、「ヤマンバギャル男」が流行っただろ?
あれ、うちの会社(アルバローザ)が雑誌の誌面に載せるギャグ企画を、ふざけて載せたのがきっかけなんだよ。
そしたらスゴイ火が着いて、一気に広まっちゃった。
でも今はそういうことがどんどん起きなくなってきてる。皆が一つのメディアに集中してた時はやりやすかったんだろうけど、今はメディアが分散しちゃってるから、影響力が下がってるんだろうね。
今の若いやつらって、統一された同じ格好なんかしてないだろ?自分が気に入った格好を思い思いにしてる感じだよ。
そうなると、ブームに乗って成長したうちみたいな会社はキツイんだけどな。」
確かに20年前は若者は皆同じ格好をしていたし、当時の若者は「ブーム」の中で遅れないように必死に生きていたような気がする。
「ロン毛」が流行れば誰もがロン毛。ロン毛にしてボロボロになったビンテージデニムをズリ下げて履いた「ギャル男」と、安室奈美恵風の「ギャル」で溢れかえっていました。
そして「ブーム」と「モテ」は密接に関係していた。
僕は当時のギャルにこんな質問をしてみたことがある。モテたくてモテなくて仕方がなかったので、池袋の西口公園でナンパした女のコ2人組に
「どんな男がカッコいいの?!おれたち、どうすればモテるのか知りたいんです」
「え~~~、やっぱカッコいい男がイイ!!」
だからどんな男がカッコいいのか聞いてんだ!!と言い返す勇気は無いので、少し離れた場所にいる男二人を例に挙げてみました。
片方は文句なしに背も高く爽やかで服装のセンスも良いオシャレな美男子。もう片方は少し小太りで背が低いロン毛のギャル男。
「あそこにいる2人の男・・・背が高い方を”ワタナベ”で、背が低い方を”タコスケ”ってことにしようか。
”ワタナベ”と”タコスケ”、付き合うとしたらどっちがイイ?」
半分ギャグのような質問をしたら、耳を疑う返事が返ってきた。
「絶対タコスケ!!」
間違いなく”ワタナベ”を選択するだろうと高をくくっていました。ギャグで質問したから、ギャグで返してきたのかと思った。
何度聞き返しても、答えは”タコスケ”だ。しかも2人とも。
そうなると理由が重要になってくるので、シンプルに聞いてみた。
「なんで?!タコスケのどこらへんがイイの?!ワタナベの方がオシャレでカッコいいじゃん!?」
「え~~~・・・だってタコスケはギャル男だからぁ。ギャル男の方がオシャレじゃん!」
これにどれだけ勇気をもらったか・・・
だって、彼女たちは「体型も顔も背の高さもどうでも良い。ギャル男でさえいてくれれば。むしろ性格だって二の次」だと言っている。
彼女たちの言う「カッコいい人」は単純に「ブームに乗っている人」でした。
ところが、先に述べた通り今現在「これに従っていれば良い」というブームが存在しない。
じゃあ、今はどんな人がオシャレでモテるのか・・・
必死で調べてみた。インターネットで・・・
そうして辿りついた一つの答え。
それは、「リスクを負う冒険男」というところに着地しました。無理やり。
でも最近つくづく思います。
女性は安心や安定を求めているというけれど、自分の感覚では公務員よりも起業家の方が断然モテる。
成功者は金を持っているとか、そういった表面的なことよりも、リスクを負いながら何事にも果敢にチャレンジする姿は本能的に女性心をくすぐるものだと思う。
そして最もリスキーな人たちがこちら
80年代暴走族。
このファッションもセリフも全てがリスキー。
ファッションが見直されることはあるかもしれないけど、大声を張り上げ騒音をまき散らしながら「気合!」と叫ぶ姿は恐らく永遠に復活することは無いのかもしれない。
そう考えるとなんとも愛しい気持ちになってくるのは自分だけか・・・
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