今日はバイク乗りにおススメしたい痛快カーチェイス&サスペンスを観たので紹介したい。
普段は劇的に「面白い!」映画を観て、誰かにそれを話したくてウズウズしても「バイクと関係ない」という理由で、このサイトでは紹介出来なかったりする。
でも一昨日観た映画は、バイク乗りが観ることでリアルな楽しさが倍増すると感じたので、ちょっと紹介してみようかと思う。
そんな映画を観るに至った発端は、自分の子供たち(8歳の長女と5歳の長男)がとても映画好きなので、アニメやディズニー以外の名作も積極的に見せたいと思ったこと。
この映画は、自分が幼少期に初めて観て熱狂したこと、セリフが少なく小さな子供でも内容を理解できること、今では世界的に有名な映画監督が業界で力を持たない駆け出しの頃に制作した作品であること、歴史に残る名作であること。
こんな作品を5歳と8歳になる子供たちにみせることで、安っぽくて面白さの欠片も感じられないテレビのバラエティ番組を見せるよりも間違いなく感性を育てることに一役買ってくれると直感したから。
そんな経緯で子供たちと一緒に観ようと、ブルーレイディスクを購入して改めて観た。
映画のタイトルは「激突」(洋題:DUEL)
すると子供にも分かりやすいだけではない、この映画の意外な一面を発見した。
それは、バイク乗りの誰もが体験したことのある「大型車に煽られる恐怖」を、これまでに観たどんなカーチェイス、カーアクション映画よりも深くリアルに再現しているところだった。
ということで、ここで紹介するに至った。
旧いけど有名すぎるほどの映画だから、30代以上の人なら大抵は「知っている」「とっくの昔に観たよ」と思うかもしれない。
でも、バイクに乗っているときに巨大なトレーラーが間近に迫る戦慄にも似たリアルな感情は、単なる「恐怖映画」以上のリアリティがあった。
そのような視点を持つと、昔に一度観たことがある人も再度観てみる価値があるのは間違いないと思うので是非。
「激突」という映画
ボクがこの映画を初めて観たのは幼稚園児の頃。
当時は大人同士の会話なんて理解できないし、当然のことながら字幕も読めない。
それでも、食い入るように、貪るように熱中しながら観たことをハッキリ覚えているし、要所のシーンと、それをみて何を感じたのかも覚えている。
とある冴えないビジネスマンが冴えない車に乗り、出張に向かう途中で起こる狂気の交通トラブルを描いた交通サスペンス&カーチェイス。
私生活では妻と喧嘩中でイライラしながら、仕事の出張先に車で急ぐ男。そして男の車の前方をノロノロと走る旧いタンクローリーの運転にイライラを募らせ、勢い良くタンクローリーを追い抜く。
しかしこの何気ない「追い抜き」が、タンクローリー運転手の逆鱗(げきりん)に触れる。
怒ったタンクローリーは仕返しとばかりに、更に勢い良く男の車を追い越し、嫌がらせのように前に出て・・・・
このどこにでもあるような大人気ない車同士のやり取りが、感情に任せてエスカレートし狂喜の殺意に発展していく。
車やバイク乗りなら誰でも一度は経験があるに違いない、路上での感情的なやりとり。
邪魔扱いされて乱暴に追い抜かされたことで「カチン!」ときたり、ノロノロと前方を運転する車を乱暴に追い抜いたり、挑発されたり挑発したり・・・
特にこちらがバイクで相手が大型トレーラーだったときに、至近距離まで背後に迫ってクラクションを鳴らしながら煽られる恐怖は「死」を連想することさえある。
「今この瞬間にもし転倒したら・・・」
この映画にはバイクは登場しないが、そんなリアルな恐怖や敵意が脳裏に鮮明に甦る。
猛烈なスピードで主人公の小さな乗用車の背後に迫る巨大なタンクローリーと、威圧的なエンジン音に思わず
「うぉ・・・・!!マジかよ!」
と、身体ごとのけぞってしまった。
そして、1メートル以上も高い位置にある大型車からこちらは丸見えだが、こちらからは相手の顔が全く見えない。
この映画では主人公に殺意を抱くタンクローリー運転者の人物描写や背景を(一般的な映画やドラマがやるように)映画の視聴者にだけ見せて親切に種明かしをしてくれるようなシーンが一切ない。
それどころか運転手の顔も声も一切出てこず、見えるのは大きな車体の隙間から時折見せる身体の一部だけ。
だから主人公にとってだけでなく、映画の視聴者にもトラックを運転する相手がどんな人間で、何を考えているのか全く見えない。
このことが更にリアルな恐怖を煽る。
そんなリアルな恐怖を描いた映画を撮ったのは、当時若干25歳の無名監督であったスティーブン・スピルバーグ。
この作品はもともと本国のテレビドラマ用として制作されたものだが、そのリアル&スリリングな展開が大きな話題を呼び、劇場公開までされた稀有な作品。
この作品が世界にその名を轟かせるきっかけとなった、スピルバーグの代表作品にして最高傑作。
GWの楽しい時間を一気に恐怖一色に変えたい人は是非・・・
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